ついに行ってきました。

 

当日は社長を始め、営業担当の方、開発担当の方に対応いただき、大変わかりやすくシャフトがカーボンの繊維からできあがるまでを見せていただきました。今回は企業秘密等の関係で写真ではご紹介できませんが、簡単に紹介します。

シャフトの設計書
シャフトは1本1本は全て設計書で管理されており、どのシートをどの形状でというデータが細かく書かれています。
シャフトの名称はいえませんが、某国内有名メーカーのベストセラーシャフトの設計書を見せていただいたのですが、1本のシャフトで使うパーツ(シート)は10種類にも及んでいました。それは大きなシートから小さなシート片まで巻き付ける場所が細かく設定されています。

シートの保管
上の設計書に基づいて、最初に見せていただいたのはまずはシャフトに使われるシートですが、よく使われるシートは150種類程、特殊なシートを含めると250種類ほどのシートが低温室にて保管されていました。これらのシートは使うときにそこから取り出され、余った物に関してはすぐに低温室に保管されます。

シートのカット
ロールされたシートは必要な分だけ取り出され、専用の台で作ろうとしているシャフトの設計書に従った角度でカットされます。このシートのカットの角度によってトルクやフレックスに影響する要素になります。

マンドレルへのシート巻き付け
カットされたシートはマンドレルと呼ばれるシートを巻き付ける芯棒にシートを巻き付けます。この最初の作業は手作業で行われ、シートは粘着性があり、マンドレルへの巻きはじめの部分に貼りつける最初の部分は慎重に小型のアイロンを使ってつけられます。ここではシートが巻かれる際にしわなどができて繊維が折れないように細かいチェックがなされます。最初の部分がつけられた状態でシートを巻いていく機械に通されきれいに巻かれます。この作業が各パーツごとに行われ、シャフトの形ができあがってきます。

シート巻き付け後のシートへ圧力を均一にかける
シートが巻かれた状態ではシャフトの表面は平面になっていないので、これを均一に圧力をかけるために伸縮性の少ないフィルムを一定の張力をかけながら機械で巻いていきます。

シャフトを焼く
このフィルムを巻いた状態で焼成炉に入れ130〜140度で60分焼きます。このとき前の行程で巻き付けたフィルムは溶けません。

マンドレルの抜き取り
焼き上がった状態でまだ温度が下がらないうちに巻き付けの時に使ったマンドレルを抜き取る機械に入れ、マンドレルを抜き取ります。

表面のフィルム剥がし
次にシャフトが冷めたところで表面に巻き付けてあるフィルムをこれも機械を一部使いながら、最後は手作業でフィルムを剥きます。この状態ではまだシャフトの表面にはフィルムの圧力でできた溝が規則的に並んでいます。

シャフト表面の滑面化
この工程はいくつかに分かれていてシャフト表面はきれいに研磨され塗装の工程に移るのですが、ここでは様々な計測がなされ、全てのチェックをパスした物だけが次の工程にいきます。もちろん1本1本転がすことでシャフトのしなりなどないか全て人の目でチェックされます。かなり厳しいです。

塗装の前処理
塗装の前処理は微少な埃やカーボン粉なども完全に落とす超音波洗浄機に通され、きれいな状態にされます。


塗装
次に塗装の工程に移るのですが、最近はG Seriesのようにイオンプレーティングなど機械でしかできない処理もあるのですが、やはりCP02のように黒一色のようなシャフトの場合1本1本手作業で塗装されていきます。その方法は非常にユニークで、塗料も無駄にならない、均一に塗れるよく考えられた方法でした。GRAPHITE DESIGNの方は原始的な方法とおっしゃっていましたが、その方法が一番きれいに仕上がるとのことです。確かにきれいに塗装されていました。


デカールの貼りつけ
その後各社のデザインにあわせたデカールがつけられ仕上げの焼き付け処理へと写ります。このデカールの版下は何百という数が保管されていました。


焼き付け
最後に塗料の焼き付けが行われこれでほぼ完了です。これは90度の釜の中で60分ほど行われるとのことでした。この工程が終わったところで塗料が平面にきれいに塗られているか、もう一度転がしてしなりがないかなどの最終チェックがされます。


最後に
今回GRAPHITE DESIGNさんの工場を見学して一番感じたのがこんなに人の手が加わってできあがるんだということで、行くまで思っていたオートメーションでどんどんできる物とは決してないと言うことでした。1本のシャフトができあがるまでに機械化して効率が上がって品質に影響が無い部分は機械化され、人間の手でしかできない部分は熟練の職人がやっています。その中でも厳しい品質管理が人間の目と機械の両方で行われています。
今回の工場見学でシャフトに対する考えが少し変わりました。例えばシャフト先端部が違うシートで補強されているシャフトの場合FWにそれを使うということでチップ側を1インチとか、半インチカットしてしまうと同じ感触が得られなくなってしまったりしてしまうということです。ですので、メーカー側でFW用のチップカットの方法を出しているとき以外あまり無理な先詰めはしないようにします。

最後に見学の際丁寧に説明をしていただいた松崎さん、それと色々素人の質問にお答えいただいたGRAPHITE DESIGNの山田社長、木本さん、松田さん本当にありがとうございました。