色々なパターヘッド素材
●パターやアイアンのヘッドで使われている素材のJIS規格名およびその主な用途について 1. SUS630(17-4ステンレス) 精密鋳造が可能なロストワックス法のアイアンヘッドで良く用いられるステンレス17-4はJIS 規格ではSUS630と呼ばれています。 鋳造製のAnser 2などはこの17-4ステンレス(SUS630)が使われています。PINGのステンレス製のアイアンヘッドもこの素材ですが硬く、ライ、ロフトなどの調整がほとんど出来ません。 このように現在ゴルフクラブで使用されているステンレス素材は、17-4ph=SUS630がほとんどです。成分は鋼の中に、17% のクローム、 4% のニッケル、その他微量の銅等が含まれています。各種のステンレスの中でも、特に、強靭性、高硬度、高耐食性(手入れをしなくてもほとんど錆びることがない)に優れています。その為、研削による加工が大変困難です。ですので、ヘッドのライ角ロフトの調整はかなり困難です。しかしロストワックス法により高精度の鋳造が可能であり、後加工の要らないヘッドが安価に大量生産出来ます。これに目をつけたのが、カーステン・ソルハイムで1969年に鋳造アイアンを造ったのが最初と言われています。その後、テーラーメイドのメタルウッド、J'sメタル、ビックバーサ等でも使われています。工業的な用途としてはガスタービンやコンプレッサー、エンジン回り等強度を必要とする部品材料に使われています。 化学成分 : 17Cr-4Ni-4Cu-0.15Nb (Nb:Niobium) Hb硬さ : 375(固溶化熱処理) 機械的性質はS45C、SUS303と比較して2倍位硬い。材料単価不明(おそらくSUS303より安いはず) 2. SUS302(18-8ステンレス) 鋼に18%のクローム、8%のニッケルを加えると、総合的に極めて優れた新しい合金となり、これを18-8ステンレス(SUS302)と呼んでおり、食器などに広く用いられています。 SUS304=18-8phという素材も使われ始めています。これはナイフやスプーンに使われている素材で柔らかく微調整も可能。メッキを施せば手軽に軟鉄鍛造仕上げになり感触も近いといわれています。クリーブランドのウェッジシリーズはこの素材を使っているという噂も。 化学成分 18Cr-8Ni 3. SUS303(18-8ステンレス+微量の硫黄、燐) ステンレスパターに使われている素材で、上記のSUS302に微量の硫黄、燐を添加し被削性(削られ易い)を大きく改良したものです。そのため、ライ角の調整も容易に可能。 SUS303は、削りやすい性質のステンレスですので、削り出しのパターヘッドの素材として適しており、また、耐熱性に関しても改良されており、ヘッドとネックを別々に加工し、溶接で繋ぐことが容易。弱点としては耐食性(錆び易い、酸、アルカリに弱い)が劣ることがあげられます。 化学成分 : 18Cr-8Ni-0.15S (S:硫黄) Hb硬さ : 180(固溶化熱処理) 材料単価 : 300〜400円/kg 4. S45C(炭素工具鋼) : 軟鉄 SUSに対して軟鉄(マイルドスチール)は別名低炭素鋼と呼ばれ、これは鉄に0.1〜0.3%の炭素を含むもので、この炭素量によって20C、25C、30C等に分類されています。 この炭素量が硬さを大きく左右しており低炭素量の方が柔らかい性質を持つことになります。 BSのツアーステージのアイアンはこだわりで20Cしか使わないそうですし、米製は30Cが多く使用されている。 化学成分 : 0.45C-0.75Mn (Mn:マンガン) Hb硬さ : 180(焼きならし:自然冷却) 材料単価 : 120〜130円/kg 5. カーボンスチール 上記の軟鉄に含まれる炭素の含有率の高い(0.3%以上)ものをカーボンスチールと呼んでいます。 マイルドスチールの対極がカーボンスチールと呼ばれる素材で非常に硬くなるわけですが、炭素量が0.3%以上の素材のことです。 スコットキャメロンの削り出しパターに使われているのはこのカーボンスチールです。 ということは、軟鉄よりも硬い素材と言うことになり、軟鉄と、SUS303がほぼ同じ硬さを持っているので、カーボンスチールよりSUS303の方が柔らかいと言うことが言えそうです。 |